黒澤明監督「夢」の葬列はめでたいもの

黒澤明監督が亡くなったのは9896日。密葬の後、13日には横浜の黒澤フィルムスタジオでお別れ会が行われました。

 

私は取材に行きませんでしたが、そのときの様子を掲載した写真集を見ると、まず金色の祭壇が目に入ります。

といっても、生花祭壇や白木祭壇が金色だったわけではなく、「乱」の「一の城・金の間」をモチーフにした、金紙を全面に貼った映画のセットのようなものが中央に置かれ、両脇にカーネーションなどの白い花が飾られていたのです。

 

あれから12年。

そして、今年は1910年生まれの監督 の生誕100年。記念の特別上映や展示会など各地でイベントが行われています。

1226日までは、京橋の東京国立近代美術館フィルムセンターで展示や映画上映なども行われています。

 

 

元バンドピープルでお葬式ライターの私にとって黒澤映画といえば、「夢」。

監督が実際に見た夢をモチーフに作ったという作品で、オムニバス形式の8話の最終話「水車のある村」には葬列が出てきます。

 

ストーリーを少々紹介すると…。

 

その日は99歳のおばあさんのお葬式。

どこからかお祭りのような音色が聞こえてきます。

 

ピッコロ、ホルン、トロンボーン、テューバなどの吹奏楽器と打楽器が「ブンチャ、ブンチャ」と奏でながら歩きます。その後ろには華やかな笠をかぶって「よいやさー」のかけ声で踊りながら行く人たち。その間で男性が柩を担いでいます。

 

 笠智衆さん演じるおじいさんがいいます。

「本来、葬式はめでたいもんだよ。よく生きてよく働いて、ご苦労さんと言われて死ぬのはめでたい」

 

もしかしたら、悲しみを忘れさせてくれるくらい楽しいお葬式があってもいいのかもしれない…。

そんなことを思わせるシーンでした。

2010.11.12