映画の中のお葬式

映画の中にも通夜、葬儀などのシーンが出てきます。少し前の映画を観ると、あの頃はあんなふうにやっていたんだと思い出すこともありますよ。

【日本公開年順になっています】

●父の初七日 

 

(公開:日本201233日、製作・監督:ワン・ユーリン、原作・脚本・監督:エッセイ・リウ、音楽:ドゥー・ドゥージー、出演:ワン・リーウェン、他/台湾作品)

 

「初七日」というタイトルだが、暦による占いで7日目に葬儀となった台湾のある父親のお葬式。台湾版「お葬式」?(伊丹監督の)。おもしろおかしく観せてくれる。ここに描かれている葬儀は台湾の福建系漢族の伝統に基づくもので、儒教的な習俗と道教、仏教の儀礼によって構成されているのだそうだ。

台湾では家で死ぬのが理想だそうで、病院で亡くなった父親がまだ生きているように救急車で家に運ばれるところから始まる。家の模型を燃やしたり、泣くことが重要とされていたり……。日本では行われない葬儀のシーン満載。

●エンディングノート

 

(公開:2011101日、監督:砂田麻美、製作・プロデューサー:是枝裕和、音楽:ハナレグミ、出演:砂田知昭、他)

 

一流企業の営業マンだった砂田知昭氏ががんを宣告されてから亡くなるまでを、娘である砂田麻美監督が追ったドキュメンタリー。前向きでユーモアあふれる知昭氏は、サラリーマン時代の段取りよろしく、「to do リスト」(エンディングノート)を作成し、家族と最期の準備をしていく。


こころの宇宙 般若心経  前編・後編

 

(制作:2011年、監督:大串利一、脚本:橋本以蔵、監修:小峰彌彦、出演:東加奈子、他)

 

小峰彌彦氏(慈雲山曼荼羅寺観蔵院住職、大正大学仏教学部教授)監修。「般若心経」をドラマ仕立てで解説している。

過去の執着を断ち切れない悩める3人が、寺で開催されている「般若心経」の勉強会に参加し、そこで学んでいく。「般若心経」とは何かを知りたい人には、手引きとなるが、映画として観ていると、う〜む。

前編・後編DVD2枚組。用語解説も付いていて、これを観ると本編に出てきた難しい用語がわかる。

 

お墓に泊まろう! 


(公開:20101023日、監督:伊藤隆行、企画・製作:テレビ東京、吉本興業、企画・総指揮:今井豪、脚本:大場剛、桜野太紀、出演:金田哲、河本準一、他)

 

2011年、テレビは地デジ化、テレビ東京が倒産した。テレ東を買収したのは葬儀社で、社内には「葬儀局」ができ、制作局のスタッフも葬儀の手伝いに駆り出されていた。

そんなとき、元社長の島田氏が亡くなった。遺言は「おれの葬儀は世界で一番くだらないものにして欲しい! 制作局頼んだぞ!」。制作局はくだらない葬儀中継番組を作ろうとするが……。

 

悪人 


(公開:2010911日、監督:李相日、原作:吉田修一、脚本:吉田修一・李相日、音楽:久石譲、出演:妻夫木聡、深津絵里、他)

 

舞台は、長崎、佐賀、福岡。長崎の土木作業員が、携帯サイトで知り合った福岡の保険外交員の女性を殺害する。その土木作業員は、別の女性とともに逃亡するのだが……。モントリオール世界映画祭ワールド・コンベンション部門に出品され、深津絵里さんが最優秀女優賞を受賞したことでも話題になった。

誰もいなくなった式場。殺害された女性の祭壇、窓の開いた棺の前で母親が泣いているシーンがある。

通夜ぶるまいの席のふすまで隔てた隣の控室で、父親がモニターを見ている。映し出されているのは、在りし日の女性(子どもの頃)の姿。おそらく式場でよく流れるような、故人の生涯を紹介する映像を見ているのだろう。


Flowers フラワーズ 

 

(公開:2010612日、監督:小泉徳宏、製作・総指揮:大貫卓也、音楽:朝川朋之、出演:蒼井優、鈴木京香、竹内結子、他)

 

蒼井優、鈴木京香さん、竹内結子さん、田中麗奈さん、仲間由紀恵さん、広末涼子さんという今をときめく女優たち。資生堂のシャンプーのCMにも出演していた彼女たちが、昭和から平成の現代までに生きた3代の女性たちを演じている。

[現代]に出演しているのは、鈴木京香さんと広末涼子さん。2人姉妹の姉は、92歳で亡くなったおばあちゃんの通夜のため、金沢の実家に戻る。

都会では懐かしい自宅にみんなが集まって賑やかに飲食する通夜ぶるまいのシーン。金ぴかの仏壇も映っている。火葬場の煙突と待合室も映る。

 

●アブラクサスの祭


(公開:2010年、監督:加藤直輝、原作:玄侑宗久、脚本:佐向大、音楽:大友良英、出演:スネオヘアー、ともさかりえ、他)

 

作家で僧侶の玄侑宗久氏の原作。福島でオールロケという作品。

かつてロックのミュージシャンだった男が僧侶になる。うつ病であり、悩める僧侶が、かつて自分を支えたロックという音楽を取り戻すことにより、この街の僧侶となっていく。

この僧侶には妻子があり自宅から通っているのだが、その日常生活や夫婦の会話がおもしろい。

 

●沈まぬ太陽

 

(公開:2009年、監督:若松節朗、原作:山崎豊子、脚本:西岡琢也、音楽:住友紀人、出演:渡辺謙、三浦友和、他)

 

原作は山崎豊子さん原作のベストセラー長編小説。3時間の大作で、間に10分間の休憩が入る。

 

国民航空(NAL)の労働組合委員長、恩地は会社と戦うが、左遷され海外転勤を命じられる。アフリカなどに滞在し10年後に帰国するが、間もなく、NALジャンボ機が御巣鷹山に墜落する。フィクションだが、JALがモデルで、恩地さんも実在する人。

 

体育館に並ぶ多数の柩は当時の事故がどんなに悲惨だったかを物語る。お葬式のシーンはないが、NALの社長が遺族の家におまいりにいき罵声を浴びるシーンなどがある。

●ハウエルズ家のちょっとおかしなお葬式

 

(公開:日本2009年、監督:フランク・オズ、脚本:ディーン・クレイグ、音楽:マーレイ・ゴールド、出演:マシュー・マクファディン、他/アメリカ作品)

 

イギリスの郊外が舞台のコメディ。お葬式は厳粛なものであり、笑ってはいけない。これは古今東西同じなのか。父親のお葬式に集まってきた家族・親族、友人などのドタバタ劇があちこちで始まる。


黒いスーツを着た4人の葬祭業者が棺を運んできたら、中には父親とは違う遺体が入っていたり、神父が用事があるので早く終わらせたいとせかせかしたり、ドラッグを間違えて飲んでおかしくなっちゃった人がいたり…。


日本の棺とは違う、コフィンとかキャスケットと呼ばれる土葬用の立派な棺が自宅の中心に置かれた。祭壇らしきものはなく、棺を囲んでセレモニーが行われる。

●シャオ夫人のお葬式大作戦!

 

(未公開/2008年作品、監督:アンナ・チー、脚本:ドナルド・マーティン、音楽:スコット・スターレット、出演:バイ・リン、ステフ・ソング、他/カナダ作品)

 

後半のオチはどこにでもありそうなものだが、中国のお葬式はどのようなことを行うのか(もしかして、アメリカにおける裕福なアメリカンチャイニーズのお葬式?)見ることができる。

 

4人の子どもを遺してシャオ夫人が亡くなった。中国伝統のお葬式は7日間かけてするもの。その間、1310分間は仏壇の前に座り、僧侶の読経を聞く。5日目には弔問客がきてもてなす。紙で作った家や車などを燃やすなど、さまざまなお葬式シーンが出てくる。

映画は未公開だがDVDが発売されている。

●最高の人生の見つけ方

 

(公開:日本2008年、監督:ロブ・ライナー、脚本:ジャスティン・ザッカム、音楽:マーク・シェイマン、出演:ジャック・ニコルソン、モーガン・フリーマン、他/アメリカ作品)

 

原題は「The Bucket List(棺おけリスト)」。

“棺おけに入る前にやりたいこと”をすべて書き出したリストを作った自動車修理工のカーターは、余命半年と告知される。

 

病院で同室となったエドワードも余命半年。しかしこちらは大金持ち。オヤジ2人がリストにあることを実現しようと病院を飛び出す。

スカイダイビングやカーレースをしたり、アフリカ、エジプト、インドとあちこち旅したりして、やり残したことをやりまくり。とにかく明るい、笑わせてくれる。

こんなふうに最後の日々を過ごせたら最高。

 

教会でのお葬式、そしてラストは秘書が遺灰を置きに行くシーンで、これがまたおもしろい。

「骨壺っていう響きが好きじゃない。火葬して遺灰を缶に入れてくれればいい」と言っていたオヤジたちの遺灰はどうなるか? 

●おくりびと

 

(公開:2008年、監督:滝田洋二郎、脚本:小山薫堂、音楽:久石譲、出演:本木雅弘、広末涼子、他)


アカデミー賞外国語映画賞をはじめ数々の賞に輝いた作品。モックンが青木新門さん著『納棺夫日記』に感銘を受けたことがきっかけで発案、映画化されたという。納棺師という職業があること、宗教家が出てこないことなどでも話題を呼んだ。「人を送る」とはどういうことかを改めて考えさせられた作品。

●東京タワー オカンとボクと、時々オトン

 

(公開:日本2007年、監督:松岡錠司、原作:リリー・フランキー、脚本:松尾スズキ、音楽:上田禎、出演:オダギリジョー、樹木希林、他)

 

原作はリリー・フランキーの同名のベストセラー小説。テレビドラマ化、舞台化もされた。樹木希林さんが演じるオカンが泣かせてくれる。


小説やテレビドラマではオカンは「互助会に入っている」と言っていたと思うが、映画ではその台詞はない。病院で亡くなったオカンは自宅に搬送され、白いきれいな布団に寝ている。その傍らで原稿を書くボク。下の階ではにぎやかに通夜ぶるまい。そして翌日は自宅で告別式が行われ、洋型の霊柩車で出棺する前の挨拶。互助会のメモリードが葬儀シーンに協力している。

●寝ずの番

 

(公開:2006年、監督:マキノ雅彦、原作:中島らも、脚本:大森寿美男、音楽:大谷幸、出演:中井貴一、木村佳乃、他)


俳優の津川雅彦さん初監督作品。上方落語界の重鎮、笑満亭橋鶴の通夜に集まった弟子たちが思い出話に盛り上がる。最初から最後まで下ネタが多いが、通夜ってみんなが故人の思い出話をしながら寝ないで番をするんだった、ということは思い出させてくれる作品。

メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬

 

(公開:日本2006年、監督:トミー・リー・ジョーンズ、脚本:ギジェルモ・アリアガ、音楽:マルコ・ベルトラミ、出演:トミー・リー・ジョーンズ、他/アメリカ・フランス作品)

 

アメリカ・テキサス州が最初の舞台。メキシコ人のカウボーイ、メルキアデスの死体が見つかる。故人は不法入国したメキシコ人で、その事件は揉み消されようとしていた。友人のピートはメルキアデスの「俺が死んだら、故郷に埋めてほしい」という約束を守って、故郷に遺体を運ぼうとする。しかも、彼を撃った男を引き連れて…。

 

「死んだら故国に眠りたい」という、国境を越え不法入国したメキシコ人の気持ち、それに応えるアメリカ人。約束は守るべきとは思うが、ここまでするかというほど。男の友情か。お葬式シーンは出てこないが、どこに埋葬するか、託された人はどうするかという点で考えさせられる。

 

また、目の見えないひとり暮らしのじいさんが「殺してほしい」と頼むシーンは、今の高齢化社会の片隅にもありそうなことだと思ってしまった。

 

缶コーヒーのCMで “地球にやってきた宇宙人”として有名になってしまったトミー・リー・ジョーンズ(ピート役)がシブい。

●死に花

 

(公開:2004年、監督:犬童一心、原作:太田蘭三、脚本:小林弘利、犬童一心、音楽:周防善和、出演:山崎努、青島幸男、宇津井健、他)


出演者は、青島幸男さん、藤岡琢也さんなど鬼籍に入る人も。山崎努さんはお葬式シーンにぴったりなのか、ここにも出演している。
前半は「メモリアル・アーティスト社」という葬祭業者がやってきて高級老人ホームでお別れ会が行われる。遺影は最新のモニター型で、故人がジャズを歌う姿が映し出される。驚きの火葬・収骨シーンの後は、元気な老人たち銀行強盗の計画が実行される。

アバウト・シュミット

 

(公開:日本2003年、監督・脚本:アレクサンダー・ペイン、音楽:ロルフ・ケント、出演:ジャック・ニコルソン、他/アメリカ作品)

 

アメリカ中西部のオマハのシュミットは保険会社を定年退職した。42年連れ添った妻が急死する。葬祭業者が費用についての説明するシーンでは「防腐処置やその他下準備に1550ドルほど。葬儀に際しての道具、スタッフの人件費及び墓地での諸経費など約1500ドル、棺の費用が約2700ドル、当社車両による運搬が約430ドル」とテロップが流れる(日本円で合計60万円くらいか)。


その後、確執を埋められない父娘の会話の中で、娘が「パパ、なぜ安物の棺にしたの? 一番安いのを選んだのね。ひと目でわかる」、父「一番安い棺じゃないぞ。あれより安いのがひとつあったが断った」(コメディではない)。このような会話があったのは興味深い。


娘との同居を許されない父は、キャンピングカーを運転して旅に出る。娘の結婚式のシーンもあり。

●ハッピー・フューネラル

 

(公開:日本2003年、監督・脚本:フォン・シャオガン、音楽:サン・パオ、出演:グォ・ヨウ、ドナルド・サザーランド、他/中国・アメリカ作品)


国際的な映画監督タイラーが「ラストエンペラー」のリメイクの撮影で中国の紫禁城に。ある日、タイラーは中国では70歳以上の人の死は「幸福な死」であることを知り、自分が死んだらコメディ・フューネラル(シージイ・ザンリー/喜劇葬式)にしてくれと託したとたん、倒れる。


お葬式の会場は、紫禁城。歌劇「トゥーランドット」のアリアを歌うとか、お笑いコンビの漫才やロック歌手の歌とか、さまざまな企画が出て、アニメで輪廻転生のプレゼンもされる。しかし、資金がなく、お葬式をテレビで世界放送し広告を集めることになる。遺影の広告は1500万円で落札などというシーンもあり…。笑える作品。


余談だが、タイラー役は、「24」のキーファー・サザーランドの父親、ドナルド・サザーランド。

●MONDAY

 

(公開:2000年、監督・脚本:SABU、音楽:渋谷慶一郎、出演:堤真一、松雪泰子、他)


ある日、酒に酔った気の弱いサラリーマンが目覚めると、そこはホテルの一室。ポケットにはお清め塩。何やら大変なことをしでかした男は徐々に記憶を取り戻していくのだが…。

 

まずは、同僚の通夜のシーンがかなりたっぷりと描かれている。


自宅には白木祭壇。「いい写真だな」と遺影を見ながら友人たちが言う。ひとりの女性が「北ってこっちじゃない?」と棺を指差し、「北枕じゃなくちゃだめなのよ」と言ってみんなで棺の向きを変える。

 

その後、故人の胸にペースメーカーが入っていることがわかり、火葬前に何とかしようとする。というようなシーンがあるが、ストーリーの展開そのものと通夜はあまり関係ないようにも思うのだが。

●お日柄もよくご愁傷さま

 

(公開:1996年、監督:和泉聖治、脚本:布施博一、音楽:毛利蔵人、出演:橋爪功、吉行和子、他)


媒酌人を務める予定の夫婦の父親が急死するところからドタバタ劇が始まる。「互助会のセレモニーです」という葬祭業者がやってきて仮通夜(自宅)、本通夜と告別式がお寺で行われる。葬儀費用は300万円。家族はお葬式を通して、それぞれの生活や問題を知ることになり、それがコミカルに描かれている。

●夢

 

(公開:1990年、監督:黒澤明、脚本:黒澤明、音楽:池辺晋一郎、出演:寺尾聡、倍賞美津子、他)


「日照り雨」「桃畑」「雪あらし」「トンネル」「鴉」「赤富士」「鬼哭」「水車のある村」の8話からなるオムニバス形式の作品。黒澤監督が見た夢をモチーフにしている。「水車のある村」には、葬列が出てくる。99歳のおばあさんのお葬式で、ピッコロ、ホルン、トロンボーン、テューバなどの吹奏楽器の先導で6人の男性が柩を担ぐ。その前後には花を手に踊る人たち。祭りのような葬列だ。

 

 笠智衆さん演じるおじいさんがいう。

「本来、葬式はめでたいもんだよ。よく生きてよく働いて、ご苦労さんと言われて死ぬのはめでたい」

●社葬

 

(公開:1989年、監督:舛田利雄、脚本・松田寛夫、音楽:宇崎竜童、出演:緒方拳、十朱幸代、他)

 

大手新聞社の社長が腹上死。自宅で通夜が行われる。別室には役員が集まり、約2週間後に本葬として社葬を行うことを当たり前のように決定する。

 

しかし、役員たちの頭の中は次期社長、そして自分の次期ポストのことだけで、殴り合いの大げんかになる。故人の息子はポツリと言う「通夜というのは人の死を悼むものだと思っていた」。


戒名料500万円。打ち合わせにきたのは「玉泉院」のネームが入ったジャンパーを着た葬儀社(スーツではないところが20年前らしい)。


平成元年2月26日、300席のどこかの会場で社葬が行われるが、葬儀実行委員長は白木祭壇を見て「新聞社らしく特徴を出せ」と生花祭壇に変更させる。
東京の新聞社らしいのだが、社葬には関西でよく見た「楠玉生花」と呼ばれる飾りが出てきた(関西に本社があるのか?)。


協力は玉泉院とある。テントや看板など「玉泉院」という名前が入ったものが、ストーリーの中に結構出てくる。

●愛情物語

 

(公開: 1984年、監督:角川春樹、脚本:剣持亘、音楽:甲斐正人、出演:原田知世、渡瀬恒彦、他)


お葬式のシーンではないのだが、井上章一著『霊柩車の誕生』(朝日選書)で触れていたので、観てみた。


かつて「霊柩車を見たら親指を隠せ」と言われていた。迷信だが「親の死に目に会えないから」というのが理由のひとつ。この作品では、主人公の女の子が、もしかしたら自分の父親ではないかと思う人を探しているときに、霊柩車に出くわす。そのとき思わず親指をしっかりと隠していた。

 

赤川次郎の小説が原作の作品。

●お葬式

 

(公開:1984年、監督・脚本:伊丹十三、音楽:湯浅譲二、出演:山崎努、宮本信子、他)


ご存じ、お葬式そのものにスポットを当てたことで話題となった作品。今でこそ、お葬式で“これはおかしい”と思うことを言っても非難されることは少なくなったが、この映画が生まれた26年前はまだ言えない世の中だったと思う。その言いたくても言えない部分をこの映画はユーモアたっぷりに描き出してくれた。今観ると、もう過去の習慣となっていることもあるのがおもしろい。

●空海

 

 (公開:日本1984年、監督:佐藤純彌、脚本:早坂暁、音楽:ツトムヤマシタ、出演:北大路欣也、加藤剛、他)


「弘法大師入定1500年御遠忌記念映画」として製作された映画。企画は全真言宗青年連盟。1984年に公開されたものが2008年にDVDとなって発売された。

中国ロケもある3時間の大作で、空海の青年期から 入定するまで61の生涯を描いた。これを観ると、最澄との関係がよくわかる。

●儀式

 

(製作:1971年、監督:大島渚、脚本:田村孟、佐々木守、大島渚、音楽:武満徹、出演:河原崎建三、賀来敦子、他)

 

かつての日本にはこのような旧家がたくさんあったのでしょう。父は絶対的な権力を持ち、女はみんな自分のものとしても許されるような……。

終戦後の日本。地方の旧家、桜田家の息子として生きてきた主人公が回想する。葬儀や婚礼のさまざまなシーンがある。新婦なしで新郎だけの結婚式、棺の中の遺体を出しその中に入る主人公……。「犬神家の一族」のようなトーンだけど、内容は深い。

 

●大阪ど根性物語 どえらい奴

 

(公開:日本1965年、監督:鈴木則文、原作:長谷川幸延、脚本:中島貞夫、鈴木則文、音楽:斎藤一郎、出演:藤田まこと、藤純子、他)


舞台は大正時代の大阪。大名行列のような葬列が火葬場まで続いていた。「奴道中」と言うらしいが、毛槍(けやり)を高く掲げながら歩く奴さん、輿を担ぐ人、白装束の喪主などがぞろぞろと歩いた。

しかし、次第に自動車が普及。葬儀屋で働く主人公は親方に、葬列をやめて仏さんを車で運ぶことを提案するが、親方は

「亡骸とちょっとでもなごう名残を惜しみたいのが人情やないかい」と言い、自動車で急いで行ってどうするのかと突き放す。

「奴道中みたいな無駄を省くためです」と言えば、

「立派な葬列を組めば組むほど、見送られる人、見送る人、お互いの心が結びあうのんや」。

説得に失敗した主人公は独立し「博益社」を開業する。「御葬式は自動車で」という広告を出し、霊柩車を使ったお葬式で売り出すが……。

長谷川幸延の『冠婚葬祭』が原作。協力は、株式会社公益社とある。白黒のお葬式娯楽映画。